三原商工会議所青年部会

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□地域通貨をもちいたまちづくり!
 本所青年部会では、9月16日(火)月例会を開催。講師に、北海道栗山町で日本はじめて地域通貨(エコマネー)に導入に携わられた、広島県立保健福祉大学助教授 鷹野和美 先生を講師に招き「地域通貨について」の講演会を開催しました。
 当部会では、本年、半どん夜市、宮沖半どん、やっさ祭り等で使える夜店共通券を将来的に、地域通貨に育てて生きたいと調査研究を進めており、今回はその実現に向け具体的な事例や導入について勉強をするため、講演会開催をすることになりました。
 地域通貨は、環境、福祉、コミュニティ、文化などに関する多様でソフトな情報を媒介する21世紀のマネーと言われており、現在帝人通りに予定されるケアハウス建設にあわせ導入をすることで中心市街地の賦活化に役立つものと期待されています。
 この地域通貨をどのように導入していけばよいのかご講演いただきました。

[講演概要]

■先進事例

 北海道にある栗山町でのエコマネーの取組みは、日本で一番最初に取り組まれ、しかも成功事例として全国に有名です。また、北海道で一番福祉の発達した町です。
 エコマネーの単位は「クリン」で、地域内、また商店街でも数多く流通されています。
 同町では、エコマネーを導入する前に、まず福祉計画のゾーニングがおこなわれました。
 従来のゾーニングは1箇所に集中されるものが多いですが、ここでは、地域の歴史的な要因・特色をいかし、4箇所にわかれた分散型のゾーニングがおこなわれ、身近でサービスが受けられるようにされています。
 ここでは、当初からエコマネーが導入されたわけでなく、分散され離れた地域を結び、「共助(互助)」を取り戻せないか。ボランティア組織が出来ないだろうか?という取組みが、その第一歩でした。
 そこで、町民全員に対しボランティアの募集したところ、雪かき、買物代行等4種類の応募しかなかったのです。それでは寂しすぎると考えていた時にエコマネーに出会いました。
 リアルマネーのように、価格という統一された唯一の価値を媒介するのではなく、エコマネーは人々の善意を媒介するものだとわかり、再度町民にボランティアの公募がおこなわれました。その募集方法は、「あなたの介助力とか人を助ける力とか、自分にしか出来ない特別なこと等、普段の生産活動を違うことで、対価があるとすればどのようなことができますか?」と。140種類のメニューの応募がありました。
 これを、種類毎に分類しまとめ、具体的に何ができるか登録をつのり、その名簿を一覧表にして、全国に配布されました。そして町民の人には、3000クリンが配布されました。雪かきをすれば、2クリン、肩たたきをすれば1クリンを支払う。そのクリンを受け取った方は、そのクリンでサービスを受けられる。というものです。
 具体的にわかりやすいエコマネーのサイクルは、農家の奥さんは、5月~10月は農繁期、逆に11月~4月までは農閑期で、時間に余裕があります。そこで、冬期間だけは、子守をするとか、安否確認をおこなう、また、ホームヘルパー(資格所持者)をおこなってい、クリンを稼ぎ、逆に、農繁期には、子守をお願いし、仕事に専念できるようにする。というような仕組みをつくられたわけです。。
 最初の、4年間は行政が主導でしたが、現在では、自立しても大丈夫であろうということからNPO法人を設置しそこで管理されています。


■今エコマネー導入するのがチャンス

 現在、帝人通り計画が進められる商店街内へのケアハウス(58室)の建設は、商店街の再生・活性化の起爆剤として大変注目しています。
商店街内に社会福祉施設できるというのは、福祉の先進国デンマークの事例とよくにているからです。
 同国では、高齢者の集合住宅が出来るとそのまわりに「まち」ができます。その経過は、「高齢者住宅に100~200人程度の高齢者が住む」⇒「ショッピングモールが出店(まちが形成されていく)」⇒「高齢者でない生産年齢人口のための集合住宅建設・古くからある住宅の改修」というものです。
 今までの日本の考え方とは、逆で、高齢化を逆手に、高齢人口が増えていくことをむしろプラスにかえていくという発想があります。
 立地といい考え方といい、帝人通りの現在の計画は全国で始めての取組みになるのではないかと思っています。
 長野県の茅野市。その町は、現在、日本で一番の福祉のまちと言われています。このまちでは、高齢化や過疎化を嘆いているばかりでなく、高齢者の方が、どのようにして、長く寝たきりにならずに生活できるか!ということを念頭に、20年前から活動をはじめ、もともと、脳卒中での死亡率が日本で1番、手遅れ率が日本で1番、寝たきり老人もとても多かったのですが、現在では、全国の自治体の中で、長寿も一番、寝たきり期間の短さも1番、国保税の安さも一番になっいています。さらに、市民病院も黒字で経営できているというまちに生まれ変わりました。こんな奇跡のようなことが実際に出来ているのです。日本で始めてというものが多くその事例が紹介されています。それと同様に、帝人通りでの取組みが日本で一番になるということが大事であると思っています。
 要因はいくつかあると思いますが、無視できない要因として、日本で最初・日本で1番のということに住民がなれていくということです。一般の市民が、保健・福祉の発達した、医療の水準の高い地域にすんでいることを肌で感じる。この市は全国から視察が、毎日のように訪れますから自然と感じとっているのです。
 三原の中心市街地の帝人通りに、日本で始めての高齢者集合住宅を中心に、新たな商業圏が誕生し、中心市街地が賦活化するということになると予想されます。そうすると、たくさんの方々が毎日、毎日視察が訪れるということになると思います。日本で始めてで、日本で一番というようなものをめざしていただきたいと考えています。
 ただ、そうは言いましてもその仕掛けというのは簡単ではないと思っております。そこで登場するのが、エコマネーです。
 今回、帝人通りにケアハウスが設置されることを機に、エコマネーを導入すれば、人々を中心市街に呼び戻すことが出来るのではないかとずっと考えていました。
エコマネーは様々な導入方法があるとは思うのですが、①持続性、②インフラ整備、③参加意欲、④啓発が鍵になります。
 現在、三原では、地域福祉計画を立案されており、その取組みは、全国でもと進んでいます。
 地域福祉計画とは、地域のコミュニティー(互助力)を再生しながら、共助の地域を作っていこうということですから、エコマネーを活用し、うまくリンクしていくようにしていきながら、とりあえずのモデル事業として、そのエコマネーが○○商店街で使用できるということにしていけば良いのではないかと思います。 

三原商工会議所 青年部会 Young Entrepreneurs Group