< 講演概要 >
お客様第一主義と言いながら、本音のところは自社・自店の商品が売りたいだけ、そんな売り手の論理や都合を、言い回しや綺麗な言葉を唱えることで繕い、媚び、さらには世間の風当たりまで避けようという自己中心主義、こうしたことに消費者が強い不信感と拒絶反応を示しています。
これが今の消費不振の根底に間違いなく存在しているのです。ですから「あの店は、いつもお客中心に考えてくれる]。[店員さんがお店ではなく私のことに関心と気を使っている」といった評価が消費者間に浸透するように、緻密な努力を積み重ねていく企業だけが、消費者から選択され一人勝ちです。選択されなかった企業は、店は消えていく以外にない。「我が社は売って売りまくるだけだ!」と勇ましい方でも、事業は消費者の支持で成り立っており消費者が事業の死活を握っていることはおわかりでしょう。では売り手中心と消費者中心のどちらの考えを、あなたが買い物される時に支持しますか?
ここで「今なぜ、消費者中心主義」なのか。本来どんな事業でも自分を中心において、ものを見たり考えたり、行動したりしていたのではうまくいかないからです。なぜならどこで何を買うか、来店して買うのか、見るだけなのか、そういった一切を決めるのは消費者だからです。だから売り手は、品揃え、品質、といったことは当然のこと、経営戦略や戦術に関わる分野に至るまで、消費者を中心に据えた判断基準を企業内に確立しなければ、今後売れないという閉塞状況から脱却することは難しいのです。ところが、ここのところが魔物なのですが、現実これまでのように自分中心、売り手本位の考えでも、うまくいきます(実はうまくいったように見えるだけなのですが)が、じきに間違いなくだめになる。Aソーラー、Y乳業、M自動車、その他多くの企業が、そのときにはよかれと思った意志決定により業績を上げ
、そのことがあとから取り返しのつかないダメージを受けている事件になった例も少なくありません。このように世間に大きく知られなくとも、消費者が作り手や売り手の自己本位の意図をいやがってお客になるのを敬遠し、それが結果として「客数の減少」となって現れている企業が実に多い。これが今の極度の販売不振の真因なのです。企業の道徳とか倫理の話をしているのではありません。あなたの事業のことを申し上げているのです。
事業がゴーイングコンサーン(存続可能性)」を求めるものである限り、「消費者中心主義」と「お客様本位体制」は必須・不可欠のセオリーなのです。そのためには消費者への個別対応が不可欠。その選定として自分が消費者のときにどう動くか、考え検証、それを自分の経営に置き換えることを繰り返す以外に術(すべ))がないのです。倒産はそれを怠った当然の報いです。